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思索の森と空の群青

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2010年 03月 19日

本日のトクヴィル

 午後から図書館のセミナー室で読書会。そのあと研究室に戻ってきて議論(?)。初恋とか恋愛とか結婚とか……はて、何でそんな話になったのか。もちろん研究の話もしたよ!

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 版元

 本日のトクヴィル(『アメリカのデモクラシー 第二巻(上)』より)。


 デモクラシーは長期的には想像力を人間の外にあるすべての対象から引き離し、人間にのみ縛りつけると私は確信する。
■(132)

 現実の現実化というか、現実性の強化というか、一重線であった現実を二重線にするというか。デモクラシーという政治のあり方に期待を向けることは、現実をただなぞって終わりにするだけかもしれない。



 貴族的な世紀には、個人一人一人と同様、個々の国民も他のあらゆる国民から離れてじっとしている傾向がある。
 民主的な世紀には、移動性が極度に高まり、人々は性急な欲求に駆られて、絶えず居所を変え、さまざまな国の住民が混じり合い、知り合い、話を交わし、金のやり取りをする。それゆえ同じ国の構成員が相互に似てくるだけではない。国民自体も互いに似通ったものとなり、見る人の目には、全体が一つの巨大な民主政体を成しているに過ぎず、一国の人民がその市民であるように見える。このことが人類の姿を初めて明確に浮かび上がらせる。

■(134-5)

 なるほどと思う。今日を見通したかのような記述である。が、おそらくそれは現実の一側面でしかない。目下の事態には、もうひとつ、トクヴィルの言うのとは逆に、国家を超えた人びとの交流が深まることで個々の国家・国民がその独自性を再構成し、それを声高に主張するようになるという側面もあるのではないか。


@研究室

by no828 | 2010-03-19 20:33 | 思索の森の言の葉は


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