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思索の森と空の群青

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2010年 08月 03日

パリ20区、僕たちのクラス

 パリ20区、僕たちのクラス

 2008年/フランス映画/第61回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞

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 公式サイト
 岩波ホール
 * 岩波ホールでの上映は8月6日(金)まで!

 舞台はパリ20区の公立中学校。フランソワ先生が受け持つ「国語」——フランス語ね——の授業が主な場面である。フランス語をきちんと身に付けなさい、先生には敬意をもって接しなさい、規律、規律、規律などなどの教師側からの“命令”と、それに対する生徒の反発。いろいろあっても、しかし最後はまとまっていくような印象を与える映像が終局近くでは続くのだが、最後の最後、“教育って何なの?”という根源的な問いを発せざるをえないようなセリフが生徒から……。わたしであればどう応えたであろうか、と思う。

 ちなみに、パリ20区はいわゆる“下町”で、移民の多い区域。低所得者層の多い地域と言ってもよいかもしれない(移民=低所得者層というイメージはあまり喚起したくないが)。そうした低所得者層の多い地区を、フランス政府は(たぶんブルデューの再生産理論に依拠して)1981年に「教育優先区域(Zone d'Education Prioritaire: ZEP)」に指定し、たとえば1学級20人程度にするなど、低学力児童生徒の底上げを目指す政策を採用した。20区もこのZEPのひとつ。それから、劇中に垣間見えるフランスの教育制度は日本のそれとは異なっており、“へぇー”と思いながら観た。

 感想。ドキュメンタリーを観ているのかと思うぐらいにリアル。でも、フィクション。すべて演技。“まぁ、役者を揃えたってことか”と思ってパンフレットを読んだら、フランソワ先生以外の登場人物は、24人の生徒も先生も親もすべて、20区に現実に存在するフランソワーズ・ドルト中学校の生徒で先生で親であったと書いてある。フランソワ先生も元教師で今は著述業、この映画の原作者でもある。つまり、演技は全員素人であったわけですね。

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 マジですか?

 演技が限りなく日常に近付くと、ああいうふうになるのかな。

 教育関係者、教育学関係者のみなさんは、ぜひ、映画館に行きましょう。

@研究室 

by no828 | 2010-08-03 20:31 | 映画


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