有川浩『図書館危機』メディアワークス、2007年。66(721)
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言葉狩り・書物狩り時代の図書防衛隊の物語。『図書館戦争』(→
●)、『図書館内乱』(→
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“図書館とは”に関する記述がシリーズ進展に伴い減少傾向にあるように思います。残念です。ただ、「三 ねじれたコトバ」の訴訟戦略は「うまい」と思いました。
「〔図書隊員の〕階級章を決めるとき、意匠にカミツレを入れることを決めたのも司令だ。カミツレの花言葉って知ってるか」
「いえ」
郁の知っているカモミール——カミツレは、マーガレットに似たかわいい白い花で、ハーブやアロマの定番。リンゴに似た甘い香りで、ハーブティーにすると初心者向けの優しい味になる。
「恥じらいとか初恋とか?」
カミツレの持っている優しげな花姿で浮かんだ言葉を当てずっぽうに挙げてみた郁に、堂上は真顔で答えた。
「『苦難の中の力』」
胸を衝かれたように一瞬息が止まった。
それは——一体どれほど図書隊の決意に相応しい言葉だろう。(83)
共感による引用でした。
@福島