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思索の森と空の群青

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2007年 12月 31日

「サラエボの花」は咲いたのか

2007年12月16日「サラエボの花」@岩波ホール。

映画は、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボに住む母エスマと娘サラの生、ことにその夫=父をめぐる生の物語である。

物語の背景には、1992年に起きた「ムスリム人」「セルビア人」「クロアチア人」をめぐる「民族紛争」がある。

「サラエボの花」のパンフレットによれば、「この紛争では、女性への暴力行為だけでなく敵の民族の子供を産ませることで、所属民族までを辱め、後世に影響を残すことが作戦として組織的に行われた」(p. 19)。

エスマの夫=サラの父は誰なのか。

エスマは知っている。サラは知らない。

サラはエスマに訊く。「わたしのお父さんは誰なの?」


悲しい物語である。


しかし、これは現実に起こったことである。


映画の最後、わたしにはエスマとサラの絶望が、少しだけ希望に変換されたように思われた。
そのように思わなければ、わたしの絶望は絶望のままであり続けたのかもしれない。

by no828 | 2007-12-31 22:13 | 映画


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