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思索の森と空の群青

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2008年 03月 17日

A Dream in Bags, A Dream in Bangladesh あるいは Made in Bangladesh の意味

晴れ。

今朝は新聞を読んだあとに今日締切りの事務作業。

郵便局での振り込みもあって(結構待たされた)、それなりに時間がかかってしまった。


郵便局のなかに入るとき、留学生(と思しき、いわゆる「白人」の女性)にドアを開けてもらうかっこうになった。
留学生は、どうぞ、と言ったのに、わたしは Thank you と返してしまった。

Thank you と言った瞬間に反省する。
「白人」の人がすべて英語を話すとはかぎらないではないか、「どうぞ」と言われたのだから「ありがとう」と返せばよいではないか・・・。

通じればそれでよい、との思いもある。「英語」であろうが「日本語」であろうが、意思の疎通ができればよいではないか、とも思う。
しかし、とくにマイノリティに対する言語政策(たとえば教授言語)の問題などを考えていると、やはり「何語で」という部分には引っかかりを覚えてしまう。


午後から某レポートの採点作業。多い。終わらない。あと10本。

レポートのなかには、はじめのページ、しかも文章の前にいきなり図表を貼り付けているものもあって、「怒り」とも呼ぶべき情動が湧き上がってくる。
また、なかには途中まで明朝体で途中からゴシック体で書かれたものもあって(コピー & ペーストか)、これも怒りを禁じえない。
さらには、タイトルや節を一切設けずにただただ文章だけを連ねているものもあって(一体何について書いているのだ)、わたしの怒りは助長されるのであった。

もちろん、レポートの目的―問題意識―構成(論じる順番)―内容―考察/分析―結論―参考文献、という「作法」を守ったものもあった(少ないけれど)。
このようなレポートは読みやすい。リーダー・フレンドリーである。

しかし、いささか(怒り)疲れたので採点作業の続きは明日に回す。

そういうわけで、今日はほとんど自分の研究ができていない。

まずい。

と思いつつ、この文章を書いている。書くと気持ちの整理になる。

そういえば、昨日23時からの「情熱大陸」では山口絵理子さんが特集されていた。

「情熱大陸」は好きでよく観るのであるが、これまで焦点を当てるひと(昨日で言えば山口さん)には「肩書き」が付されてきた。たとえば、ブックデザイナー・祖父江慎、とか、理論天文学者・小久保英一郎、とか。

そのひとの魅力は、おそらく肩書きには左右されない。だから肩書きはあまり重要であるとは思わない。

しかし、山口さんに関しては何と紹介されるのかが気になった。

もしかしたら、「社会起業家」と紹介されるのではないか・・・

結果は「バッグデザイナー」であった。

ほっとした。なぜかはよくわからないけれど。

本人も以前おっしゃっていたように、山口さんの行なっていることは「社会的起業」ではない、にもかかわらず、流行の波のなかで「社会起業家」と紹介されてしまうのではないか、という勝手な危惧が、今振り返ってみるとわたしのなかにあったのだと思う。

おそろしく勝手な危惧である。

もちろん山口さんの行なっていることに社会起業家的側面があることは否定できない。しかし、山口さんが行なっていることの第一義的意味は「バッグ作り」それ自体に求められる、と思うように最近なった(そうしないといろいろと説明がつかないことが出てくる、ような気がするのである)。

当初は社会起業家的側面、つまり社会的起業としての「バッグ作り」という意味が強かったのかもしれないけれど、だんだんと「バッグ作り」そのものの意味が大きくなっていったような印象をわたしは受ける。

「バッグ作り」をいわゆる開発途上国である「バングラデシュ」で行なっている、というコンテクストによって、山口さんに「社会起業家」のイメージが付与され、山口さんの行なっていることに「社会的起業」の意味がもたらされる。

そのような一面もたしかにあろう。

しかしながら今回の映像を通して、わたしは、山口さんは「バッグ作り」がしたいのだ、との思いを強くしたのである。


これもまた、おそろしく勝手な印象論であり、おそろしく勝手な意味づけである。


@研究室


註:タイトルの A Dream in Bags と A Dream in Bangladesh はわたしのオリジナルではない。A Dream in Bags の Bags に文字が追加されて Bangladesh へと変わってゆくという映像が「情熱大陸」内であり、「おお、なるほど、うまい」と思ったのでここに引いておくのである。

by no828 | 2008-03-17 20:54 | 日日


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