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思索の森と空の群青

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2008年 07月 17日

立脚点 承認 問題意識

晴れ

あいかわらず暑い。今日は午後から学系の書庫の整理のお手伝い。

わたしも書庫の整理。とりあえず2冊。

32(82) 姜尚中『悩む力』集英社(集英社新書)、2008年。(読了日:5月26日)

わたしに必要な力だと思って。

「私の志していたのは政治学ですが、この学問はみずからの立脚点が定まらなければ、やはり見るべきものが見えてこないし、語るべきものも語れません。そのために私は足踏みの状態のまま30歳近くまで悶々としていたのです」(p. 34)。

教育学も、みずからの立脚点なしには語ることのできない学問だと思う。もちろん、立脚点なしに語ることもできるが、そうして語られたことにわたしは惹かれない。

「結局、私にとって何が耐えがたかったのかと言うと、自分が家族以外の誰からも承認されていないという事実だったのです。自分を守ってくれていた父母の懐から出て、自分を眺めてみたら、社会の誰からも承認されていなかった。私にとっては、それがたいへんな不条理だったのです」(p. 39)。

「〔……〕私は、自我というものは他者との『相互承認』の産物だと言いたいのです。そして、もっと重要なことは、承認してもらうためには、自分を他者に対して投げ出す必要があるということです」(p. 40。強調は引用者)。

「まじめに悩み、まじめに他者と向かいあう。そこに何らかの突破口があるのではないでしょうか。とにかく自我の悩みの底を『まじめ』に掘って、掘って、掘り進んでいけば、その先にある、他者と出会える場所までたどり着けると思うのです」(p. 42)。

「しかし、みなが先へ進んでいくのを横目に見ながら、立ち往生したまま動けない人もいます。つまり、春というのはある意味で残酷な季節であるとも言えます」(p. 84)。

「ですから、私は青春とは、無垢なまでにものごとの意味を問うことだと思います。それが自分にとって役に立つものであろうとなかろうと、社会にとって益のあるものであろうとなかろうと、『知りたい』という、自分の内側から湧いてくる渇望のようなものに素直に従うことではないかと思うのです」(p. 87)。

「それ〔=『人が働く』という行為のいちばん底にあるもの〕は、『社会の中で、自分の存在を認められる』ということです。〔……〕人がいちばんつらいのは、『自分は見捨てられている』『誰からも顧みられていない』という思いではないでしょうか。誰からも顧みられなければ、社会の中に存在していないのと同じことになってしまうのです」(p. 122)。


33(83) 勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術 自分をグーグル化する方法』ダイヤモンド社、2007年。(読了日:5月24日)

「情報入手の効率を上げるために、まず必要なのは『問題意識、すなわち自分のテーマを持つこと』です。
 問題意識とは、要は検索エンジンのキーワードと同じです。グーグルやヤフーなどのすばらしい検索エンジンを知っていても、キーワードがわからなければ検索のしようがないように、どんなに情報入手の機会が平等でも、キーワードがないと情報が入ってきません。
 自分のテーマは複数あったほうがいいでしょう。そして、何かちょっとでも気になった時は、そのテーマをもとに、常に検索するクセをつけていきます」(p. 32。強調は原文)。

わたしも自分の研究のキーワードを整理してみよう。ひとつひとつの論文のキーワードではなく、個々の論文を包括するような、わたしの研究全体のキーワードを整理してみよう。論文を書いているときは、その論文のテーマから分節化されるキーワードがアンテナとなって情報が集まってくる。しかし、それよりも大きな視野で、研究全体を貫く具体的なキーワードを立てることが重要になってくる。最近、それを痛感している。


@自室

by no828 | 2008-07-17 23:40 | 人+本=体


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