2009年 10月 04日
昨晩「グラン・ジュテ」@NHK教育。山口絵理子さん登場。フランス語で「飛躍」を意味する「グラン・ジュテ」。 観ながら、テレビに映る人、テレビを観る人、そのあいだに圧倒的な落差を感じてしまう。俺は一体何をやっているんだと思い、しかし俺には俺のやらなければならないことがあるのだと我に返る。 どこかにそのときがあるはずだと思って必死でやるしかない。もちろん必死でやったからといって飛躍のときが訪れるとはかぎらない。しかし、それでも夜明け前がもっとも暗いのだということを信じずにはいられない。跳ぶためには脚を曲げて屈まなければならないのだと、自分に言い聞かせずにはいられない。 「グラン・ジュテ」公式サイト ————— ドゥルーズ、ジル(宮林寛 訳)『記号と事件 1972-1990年の対話』河出文庫、河出書房新社、2007年。 ※ 原著は1990年に出版。 ドゥルーズのインタヴュー集。ここに収められている「政治」の章では、アントニオ・ネグリがインタヴュアー。マイケル・ハートとの共著『<帝国>』の内容につながることが話されている。これを『<帝国>』の前に読んでおけば、『<帝国>』ももう少しすっきりと読めたかもしれない。考えてみれば当然のことだが、ある本を理解するには、その本より前に書かれたものを理解しておく必要がある。それはたいへんな作業量になり、だから時間もかかる。時間をかけたが勝ち、というところがどうしても出てくる。先達を超えることはなかなかに難しい。 「私たちはコミュニケーションの断絶に悩んでいるのではなく、逆に、たいして言うべきこともないのに意見を述べるよう強制する力がたくさんあるから悩んでいるのです」(「哲学について」、277頁)。 あーなるほど、そうかもしれない。 「授業は私の半生でも重要な部分だったし、私なりに情熱をかたむけてきたつもりです。私の授業は講義とは似ても似つかないものでした。長い時間と比較的一定した聴衆、それも場合によっては何年も続けて来てくれる人たちを前提にしていましたから。探究のための実験室のようなもの。現に探しもとめていることについて授業をするのであって、すでに知っていることについての授業ではないのです」(「哲学について」、279-280頁)。 授業に情熱を傾けない教員もたくさんおり、授業のスタイルもいろいろある。「私は授業で取り上げるこのテーマについてよく知らないわからない」と明言して憚らない先生もいらっしゃる。 わたしとしては、「探究のための実験室のようなもの。現に探しもとめていることについて授業をするのであって、すでに知っていることについての授業ではないのです」というドゥルーズの言葉にすごく共感する。もちろん、学部段階では当該分野の基本的なことを教えた上でないと、実験してはいけないであろう。自分の考えていることだけだと、授業としては適切でない場合もあると思う。が、ゼミや大学院の授業ではがりがり自分を出してもよいと思うし、そう期待されているところも大きいと思う。 @研究室
by no828
| 2009-10-04 20:04
| 思索の森の言の葉は
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自省のために。他者の言葉に出会うから自分の言葉を生み出せる。他者の言葉に浸かりすぎて自分の言葉が絞り出せなくなることもある。自分の言葉と向き合うからその言葉は磨かれる。よろしくお願いします。 by no828 カレンダー
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