2010年 02月 19日
最近2時に寝て8時に起きる、というリズムになりつつある。眠れない夜もあるのだが。 昨夜は昼間に着便したと思われる某amazon媒介の古本を少し読んでから就寝。 こんな本。 版元サイト わたしは権力に(も)興味があるらしい。“いろいろ勝手に決めんじゃねえよ”という思いがあるのかしら。 「教育なんてまさに権力行為じゃない?」 「だね」 「教える人、教える内容、方法、目的、子どもはどれも自分では決められない」 「そうだね」 「それでいいの? 子どもが選べるようにしたらいいじゃない? 子どもが無理なら親とか」 「まあ、政策的にはそうなってきてるよね。公立学校選択制とか。親も子どもを私立に行かせたがったりとかしてるし。時代の雰囲気も“選べることはよいことだ”になっている」 「ふーん。それならよくなってるんだ」 「どうかな。“よくなってる”って何に基づいて判断するかだね。そのとき依拠される判断の規準それ自体の検討も必要だよね。それに“選べる”と言ったって、実は“選ばされている”だけかもしれないし。そういう権力作用だってあると思うよ」 今朝。“本当は昨日するはずであった道路工事が雪のために決行できなかったので明日します。ついては、明日の午前中このアパートの前の道路を全面通行禁止とさせていただきます”なるビラが配布される。わたしは明日土曜午前、アパートの外部へと脱出する可能性を閉ざされたことになる。 ここで、“わたしはアパート前道路の封鎖に同意していない。勝手に決めるな”という異議申し立ては可能と言えば可能。だが、向こうからすれば、“これは市が発注した工事だから、文句があるなら市に言ってくれ”ということになる。市に対して言ってもよいのだが、面倒だから言わない。そう、面倒なのだ。権力を及ぼす側もいろいろ大変だと拝察するが、及ぼすときにその対象にお伺いを立てる必要はない。“今から権力を及ぼしますが、いいですか? 準備できました?”なんて訊く必要はない。もちろん訊くこともできる。が、訊いてよいかどうかは訊かずにいることができる。つまり、“‘今から権力を及ぼしますが、いいですか? 準備できました?’ってこれから訊いていいですか?”というメタ的な質問を想定することはできる。だが、切りがない。いずれにしても、権力作用は無断で及ぼしてしまうことができるということだ。そのさいの権力の受け手は“権力が及んだ”という過去の事実をもってしか事態を把握することができない。つまり、権力が及んだあとでしか異議を申し立てることができない。というより、異議を申し立てなければならないのはいつも受け手の側なのだ。異議を申し立てるという労を取らなければならないのはいつも受け手の側なのだ。 わたしはたぶん、それが嫌なのだ。“こちらでいろいろ決めさせていただきますが、その決定事項が嫌な場合は異議を申し立ててください、ってずいぶんと勝手な理屈だと思うぜ”ということなのだ。たとえば、少し前に話題となった憲法改定の法的根拠となる改定手続き法。それってつまり、“こういうふうに決めましたけれど、この法じゃ嫌だということになった場合にはこの手続き法に基づいて法を変えてくださいね。変更する余地は残しておきましたから全体主義でも何でもないですよね。そういうことなので、あとはよろしく”ということ。もちろん法を制定する労もあったと思う。が、法を改定する労ってそれ以上にあると思う。だからわたしは“面倒くせー、嫌だー、勝手にいろいろ決めるなー”と言う。“誰かが何かを決めなければ前に進まない”ということもわかってはいるのだが。 では、権力の受け手には何もできないのか。そうではないはず。 某レインボー・ブリッジは封鎖できないのに、わたしのアパートの前の道路は簡単に封鎖できてしまう、ということに鑑みると、権力の受け手(もちろん同時に働き手でもある)にもできることはあると思われる。誰が権力を用いるかも見極めどころだが、その権力が誰に・どこに作用するのかという、権力作用の客体(=主体)も見ておく必要はあろう、なぜならばそれによって権力の作用のしやすさが変わるからだ、ということである。具体的にどうすればよいかはすぐには出てこないが、何か出てきそうな気はする。 なお、昨夜少しだけ読んだ本に以上のことが書いてあるかどうかはわからない。 @研究室
by no828
| 2010-02-19 12:12
| 思索
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自省のために。他者の言葉に出会うから自分の言葉を生み出せる。他者の言葉に浸かりすぎて自分の言葉が絞り出せなくなることもある。自分の言葉と向き合うからその言葉は磨かれる。よろしくお願いします。 by no828 カレンダー
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