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「君のためなら千回でも」、2007年アメリカ映画(日本での公開は2008年)。監督はマーク・フォースター(有名らしい)。原作はアフガニスタンはカーブル(カブール)出身のカーレド・ホッセイニによる小説。
物語は、アフガニスタン人作家アミールの幼少時代から青年時代までを描いたもの。時間軸はおよそ20年間。1978年、1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻、アミールのアメリカへの亡命、アメリカでの生活、アフガニスタンにおけるタリバン独裁、アミールのパキスタンへの訪問、アフガニスタンへの訪問、アメリカへの復帰。
民族問題やソ連侵攻、タリバン独裁など、政治・軍事の暴力・破壊力とそれに翻弄されるリアルな顔を持つ個々人の生活が底流にあり、それとは別に主人公アミールが幼少時代に親友ハッサンに対して与えた精神的な(そして間接的には身体的な)傷、また、それによって自らも負った精神的な傷が物語の中で所々交錯する。
子どもの心理というのをうまく描いているなあという印象。あとは、政治・軍事などマクロな次元で語られがちなことは、名も知られぬ多くの個人の生活、個人と個人との関係に大きな影響を及ぼすのであり、そのことを決して忘れてはいけないのだということを再確認した。“アフガニスタンがどうなった”とか、“タリバンがどうした”とか、そういう語り口の背景には数えきれないほどの個人の感情があることに思いを致すべきであろう。
なお、主人公ハッサン(の青年期を演じたハリド・アブダビ)が誰かに似ているなあと思っていたのだが、それが“彼”だということに気付いた。
ハッサン(ハリド・アブダビ)
野口健
@研究室