2012年 10月 10日
149(609)新野剛志『もう君を探さない』講談社(講談社文庫)、2003年。 版元 → ● 単行本は2000年に同社より刊行。 「教師」とは何か、という問いが底流しています。それをねらって購入したわけではありません。『八月のマルクス』(→ ●)の著者の本である、というのがきっかけで古本屋で手に取りました。高校教師とその生徒と、やくざも出てきます。 「相手が先生だから本音で言うと、必要悪なんてものは存在しない」(19) 「生徒に与えるものがある限り、辞めてはいけません」(87) 「今の子たちが使う“ウリ”って言葉聞くとぞっとする。私、どんなに悪くても体を売ろうなんて絶対に思わなかった。頭も悪い、親にも見放されている。残るのは自分の体だけよ。それを売っちゃったら、何も残らないじゃない」 「私がなんで受験から推薦に切り換えたか先生に話したよね。憶えてる?」 授業をしっかりする = 教師の仕事 → 仕事をしっかりする = 社会人 ≒ 人間性、という構図。最初のほうの、授業をしっかりする、と、最後のほうの、人間性、がどうつながるのかちょっと考えました。しかし、教師はその授業内容が1番好きでなければならない、それを1番勉強していなければならない、とはわたしも思いますし、そういうことを短大でも言っていますが、これはやや教師の人生論のようなものでもあり、いつも言いよどみます(でも結局言います)。 「それに先生っていい教師だよ。〔略〕高校の教師の良し悪しって、どれだけ真っ当な大人かってことだと思う。大人になりかけている私たちに、どれだけ手本を見せてくれるか。社会人としての働く姿勢も含めてね。先生の仲間の話で悪いですけど、自分自身つまらなそうに授業やってる先生多いよ。教師としてというより、社会人として問題あると思う。そういう意味では、先生最高だよ。授業楽しんでるのわかるから。終わらなくて休み時間に食い込んじゃうとき、悪いもうちょっと付き合ってくれっていつも本気で言ってる。それ聞くと笑っちゃう。教えてもらってるの私たちなのに、まるで自分の楽しみに付き合わせているみたいに言うんだもん」 ついでに書いておきますと、学生が学ぶのは、突き詰めるとおそらく授業内容そのものというよりも、教師が授業内容にどう向き合っているか、ではないかと思います。高等教育になりますと「授業内容」は「研究主題」と、「教師」は「研究者」と、それぞれ言い換えたほうがよいかもしれませんが、研究者 → 研究主題 のこの → にこそ学生は感応するのだと思います。そして学生が感応してはじめて、その研究者は教師とも呼ばれることになるのだと思います。 @研究室
by no828
| 2012-10-10 15:54
| 人+本=体
|
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自省のために。他者の言葉に出会うから自分の言葉を生み出せる。他者の言葉に浸かりすぎて自分の言葉が絞り出せなくなることもある。自分の言葉と向き合うからその言葉は磨かれる。よろしくお願いします。 by no828 カレンダー
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