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思索の森と空の群青

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2012年 10月 17日

君んちのママは中卒で、柿沼んちは大卒だろう。どうしてだ?——宗田理『ぼくらの七日間戦争』

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152(612)宗田理『ぼくらの七日間戦争』角川書店(角川文庫)、1985年。

版元 → 

単行本の情報は記載されていません。最初から文庫で出版されたのでしょうか。


 あまりにも有名な本なので敬遠してきた経緯があります。内容は、学生運動(全共闘)を経験した世代の子どもが中学生という設定です。その中学生が「解放区」を作って大人に反抗します。学校教育にも関係あるはずだし、と思って読むことにしました。

「だって、うちのママは、柿沼君のママの相談相手だもん」
君んちのママは中卒で、柿沼んちは大卒だろう。どうしてだ?
(119)

 これは本書のなかでもっとも驚いた場面です。今から振り返れば、時代に制約された認識、ということになるでしょうか。

えらい奴が、立派なことを言うときは、気をつけた方がいい
「じゃ、総理大臣が言ったら」
〔略〕
「あぶねえ、あぶねえ。政治家が子どものことに口出しして、ろくなことはねえ。ほら、最近言ってるだろう。少女雑誌に有害なのがあるとか」
(79)

「おとなって、どうして子どもにうるさく言うのかな?」
「そりゃ、いいおとなにしたいからさ」
いいおとなって何?
えらい人の言うことをよく聞く人間だ
(80)

「われわれは、子どもを“いい子”にしようとしています。われわれのいう“いい子”とはなんでしょうか? それは、おとなのミニチュアですよ。つまり、おとなになったとき、社会の一員として、役に立つように仕込むのが教育なのです(373)

「うそだ。おれは、お前たちを立派な人間にしたい。ただそれだけを思ってしごいているんだ。おれには私心はひとかけらもない。このおれの真情が、お前らにはどうしてわからないんだ」
その、正義の味方ってのが困るんだよな
(145)

「大体、親も勝手ですよ。家庭のしつけなんてものは皆無。まるで狼少年みたいなガキを学校に送りこんでおいて、まともにならなきゃ教師の責任とくるんですからね。そのくせ、厳しくやれば管理教育。じゃあ、どうしろと言うんですか?」
〔略〕
「君の言うとおりだ。だから教師たる者は、雑音に惑わされない情熱と信念が必要なのだ。ところが、信念をもって行動しようとすると、必ずリアクションがある。こんどのことも、それが原因ではないかと思っとるんだ」
(251)


問題ってのは、出されるより出す方がおもしろいな(284)



@研究室

by no828 | 2012-10-17 16:57 | 人+本=体


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