2014年 08月 21日
先月のある日の行状。 その日にしなければならない具体的な仕事は、T川の専門学校での夜間の講義のみ。同じ曜日に組み込まれていたE古田の講義は、なし。にもかかわらず、早めに上京。理由は、映画を観るため。目当ては「大いなる沈黙へ——グランド・シャルトルーズ修道院」(→ ● ● いずれも外部リンク)@J保町I波ホール。(注:先に記しておきますと、この映画は後日観ることができました。ちなみに、I波ホールでの上映は明日8月22日(金)までです。) しかし、当日券売り切れ……。こんな事態に遭遇したことはこれまでありません。こんな貼紙も見たことがありません。「ハンナ・アーレント」のときにほぼ満席になった経験はありましたが、まさかの当日券売り切れ。J保町界隈、近くに映画館はなく、代替策を思案、日陰に立ち尽くしながらあいほんで探索するも、観たい映画の公開がまだであるなど妙案は現われず、古本街をしばし探索することにしました。 古本店では結局、小沼丹『椋鳥日記』など3冊を購入。コーヒーを飲みながら本に目を通し、18時からの講義までの大いなる時間の使い方を引き続き検討するために、適当なお店を探します。J保町的喫茶店は大体禁煙・分煙が徹底していない印象が少なくとも強いため、まずはSタバ。満席。次にDトール。分煙が徹底されていたものの満席。別のDトール。満席ではないものの分煙が徹底していないために撤退。再度、Sタバ。引き続き、満席。分煙が徹底されているほうのDトール。何とか座席確保。アイスコーヒーで一服。 予定どおり、本をぱらぱら眺めてからあいほんにて大いなる時間の使い方。 落ち着いて頭を動かしたところ、こういうときの——とはいえ、こんな経験もあまりないのですが——時間の使い方としては、とりあえず、基本的に、以下の3つが私的にはありうるのではないか、あってよいのではないかと想定しました。 (1)喫茶店で本を読む。 (2)映画を観る。 (3)美術館・博物館へ行く。 (1)とりあえずDトールでは無理。冷房が効きすぎていてやや寒い。わたしはあまり冷房を寒がらないほうだと思いますが、これは寒い。実行するなら別のお店に移動することになる、けれどもわざわざ大都会T京まで出てきて喫茶店のはしごをしなくてもよいのではないか。却下。 (2)全国一斉ロードショーものは多々あるものの、そういうものは基本的に観ない方針なので、S宿の単館上映ものをいくつか再探索。しかし、いまいちであったり、上映日が先であったり。残念ながらこれもやはり却下。 (3)思いつくままに美術館・博物館の名前で検索。いろいろ候補はあるようです。実行可能性高めです。ただ、美術館・博物館が割と集合したU野方面にこれから戻るのも億劫に感じ、西側に焦点化。結果、国立S美術館(→ ● 外部リンク)の「オルセー美術館展 印象派の誕生——描くことの自由」(→ ● 外部リンク)に決定。何年か前にそれこそ同じ美術館でオルセーを観た記憶はあるものの、同じ内容ではないようなので、よしとしました。 移動の前にJ保町に留まって昼食。「キッチンN海」へ行ってみました。少々並んでから店内最奥のカウンター席に座り、「カツカレー」(たしか700円)を注文。待つあいだに店内を見回すと、3人のコックさんが皆さんヒゲであることに気づきました。親近感。鼻の下、それからもみあげからあごにかけてつながる形状。ヒゲを生やさなければならないのか! と思わず感嘆符を加えてしまったのは、もっとも若いコックさんがどうにもヒゲが生えにくい体質・肌質のようであるにもかかわらず、鼻の下ともみあげからあごにかけてうっすらとヒゲをかろうじて残している、確保しているように見えたからであります。 また食べに来ようと思ったのは、コックさんがヒゲだから、というよりは、大変丁寧に作られたカツカレーであることがとてもよく伝わってきたからです。客の出入りも多く、店内は慌ただしくもあるのですが、その慌ただしさをカレーには感じられませんでした。ちなみに、写真だと見えにくいかもしれませんが、カツの下には千切りのキャベツが敷かれ、その下にごはんがあります。ルーも黒っぽく見えますが、そんなに辛くありません。おいしい。 N木坂に移動。オルセーを以前観たのは、たしか読書会のメンバーと一緒であったような気がしてきました(何年前だ?)。そのときに、「Mクドナルド」の期間限定復活「チキンタツタバーガー」(だったはず)をSに大いにすすめられ、みんなで食べ ポスターに描かれた作品、エドゥアール・マネの「笛を吹く少年」が今回の目玉のようで、少年が吹いている楽器の再現模型も展示されていました。「印象派」がどういう一派なのかよくわかりません——図録も買ったのにまだ読めていません——が、当時の主流への対抗の意味合いが含まれていたことはわかりました。労働者を描いたり、庶民の裸を描いたり、というのは、当時はよしとされていなかったことのようです。今回の展示、その副題にある「描くことの自由」の意味を考えさせられました。図録と一緒に、とくに勝手に共感し、うまい具合に商品化もされていたギュスターヴ・カイユボットの「床に鉋をかける人々」(→ ● 外部リンク)——と、ベルト・モリゾ「ゆりかご」——のマグネットも研究室用に購入しました。 最後の写真は、鑑賞後、美術館の外に出て見上げた空の様子です。 この空のもと、図録も加わって——ただでさえいつも重いのに——さらに重くなった鞄を持って、わたしはT川へと向かいました。T川行脚、5年目の夏であります。 @研究室
by no828
| 2014-08-21 20:51
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自省のために。他者の言葉に出会うから自分の言葉を生み出せる。他者の言葉に浸かりすぎて自分の言葉が絞り出せなくなることもある。自分の言葉と向き合うからその言葉は磨かれる。よろしくお願いします。 by no828 カレンダー
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