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思索の森と空の群青

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2016年 09月 23日

ひとりでなければなにもできない——松浦弥太郎『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』

 松浦弥太郎『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』講談社、2013年。10(1007)


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『暮しの手帖』編集長(当時)のエッセイ。丁寧に生きることの大切さが伝わってきます。改めて気づかされる点もあります。しかし、現在の社会のあり方を前提にしているところが気になりました。本書の一部では、社会の「ポジティブな歯車」になることの大切さが説かれており、社会のありようを変えていくという道筋が確保され、社会のなかにきちんと入らないことには社会も変えられないということが示唆されているようにも思えますが、それは基調ではありません。


 世の中の多くの人は、いつも誰かを探しています(7)

 つねに自分の収入がなにに比例しているのか、それは喜んでくれたり感動してくれた人の数だと知っておきましょう。収入の多い少ないは、別に不平等なことではなく、世の中のしくみです。(11)

僕にとって歯車とは、とてもポジティブな言葉なのです。社会の歯車になることができれば、すばらしいことだと思うのです。〔略〕ネガティブな歯車から脱却して、ポジティブな歯車になること。これを意識しただけで、自分が社会に参加している一員だとあらためて自覚するはずです。こう考えることができたら、それだけでも自分が成長したことになるとは思いませんか?(15-7)

ただくり返しているのではダメなのです。単純作業や慣れている作業を単にくり返すことを毎日し続ける、これを継続と思いがちですが、それは実は、とんでもない落とし穴です。〔/〕封筒に書類などを入れる単純な封入作業を割り当てられたとしたら、ただ、その仕事を終わらせるのがくり返しです。どうしたら早く確実に作業ができるだろう? もっときれいに仕上げられるだろう? と、創意工夫をしながら仕事を継続することが“小さな成功の積み重ね”です。前より早くできた! きれいにできた! それが小さな質をともなった成功なのです。(21)

“素振り”を怠らない(26)

一生懸命に解決しようとしても、なかなかプラスには転換できません。なぜなら、解決とは、自分以外の人がしてくれるものだからです。自分の起こした失敗を、許してくれたり、理解してくれる人がいてはじめてトラブルが解決します。解決か、そうでないかを決めるのは相手です。だから、解決は決して自分にできることではなく、できることといえば、真摯な対応だけであると知っておくべきでしょう。(31-2)

自分は絶対に保証人にはならない。そのかわり、自分も人には保証人を絶対に頼まない。〔略〕〔/〕保証人を立てなければ始められないようなビジネスは、その発起人である友人や知人、あるいは自分の信用度が足りないことの証です。信用度が足りないということは、そもそも最初の時点で、そのビジネスが破綻する可能性の高いことを示しているということなのです。(37)

選ぶ訓練をする、つまり、自分がなにを好きで、なにに感動したのかをメモしたり、記録しておくのがいいと思います。たとえば美術展に出かけたら、100枚ある絵画のなかで、自分が一番好きな作品はどれなのかを意識して鑑賞し、それをなんらかの形で残しておくのです。(39)

単に「ありがとうございます」のひと言では、だめ。なにに対して、僕は「ありがとう」と思ったのか? それをくわしく伝えるのです。(75)

人となにかをすることは、つまらないということ。たとえば絵を観にいっても、僕はこの作品を2時間でも3時間でも観ていたいのに、人といっしょではそうもいきません。じゃあ、結局、僕はなにをしにきたんだ? と思ってしまいます。〔略〕〔/〕けれど僕が25歳の人たちにほんとうに言いたいことは、実はひとりでなければなにもできない、という事実です。自分には力がないから、誰かといっしょならできそうな気がするというのは、幻想でしかありません。〔/〕人は、いつもひとり。孤独とは、生きるうえでの最低条件である。孤独感を受け入れ、自分をよく知ればこそ、人の気持ちがわかり、優しくなれたり仲よくなれたりするのです。それによって豊かな人間関係をはぐくむことができるのでしょう。(124-5)

いつもあることでもないけれど、自分がここぞ! と思う場面があります。自分が言うべきだと、確信した意見がある。そんな大事なときは、たとえ周囲の全員を敵にまわしても、図々しく発言すべきです。すべてを捨ててもいいくらいの、勇気や瞬発力が重要なのです。〔/〕〔略〕なにかひとつ、あっ今だなと決断して、なりふりかまわず突進したときは、〔略〕自分でそこまでできたことに納得するのです。自分の納得は、ひとつの成功体験です。そして、納得体験はすごくリアリティがあるから、自分の次のステップへの大きなエネルギーになるのです。(128-9)

 展覧会や演劇、歌舞伎や能といった古典芸能、コンサートに出かけるのも自己投資。出かけても、なにも理解できなかった経験も、もちろんありました。でも僕は、なにもいいところを見つけられなかった自分がいけないのであり、いつか機会があったらもう一度チャレンジしようと考えます。つまらなかったと否定するのは、いちばん簡単な評価です。でも、それではその時点で好奇心が終わってしまう気がするのです。(137)

 僕が『暮しの手帖』の編集長という立場になってからも実感をしたことですが、上に立つ人間は下の人間から話しかけられても決して不快には思いません。だから、必要以上に恐縮することはありません。そういった遠慮は無用なのです。ふだんからトップと目線合わせができる環境を考えて、つくりだすこと自体、会社に対する、また仕事に対する積極性というものでしょう。(197)

@研究室


by no828 | 2016-09-23 21:06 | 人+本=体


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