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思索の森と空の群青

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2007年 09月 17日

愛と生き方 ― 9月11日から17日までの読書

15 土屋賢二『もしもソクラテスに口説かれたら ― 愛について・自己について』(双書哲学塾)、岩波書店、2007年。
― 今学期の大学院の「教育哲学」の授業では、ソクラテスの「愛」が取り上げられる。その準備(と気分転換)のために読む。ソクラテスは人間の魂と身体とを分別し、「私はあなたの魂を愛している(だから顔などの身体はどうでもよろしい)」と告げた(というより教育的意図をもって問いかけた)。
 斉藤和義は「君の顔が好きだ」と歌った。ソクラテスと真逆のことを言っているのである。度胸があると申し上げてよろしいであろう。
 実際「あなたの魂を愛する」と言われたら嬉しいけれど、そこに「顔はどうでもよろしい」が含意されていたらあまり嬉しくない。
 まとめよう。ソクラテスは魂、斉藤は顔、私は雰囲気。

16 山口絵理子『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』講談社、2007年。
― マザーハウスのイベントで購入する。1時間で一気に読み終える。先に書いたとおり、「あなたの生き方はそれでよいのか」という問いが放たれている。この問いは「あなたは結局のところ何?」にまで行き着く。「あなたは誰?」というよりも「あなたは何?」である。「山口さんはこのような生き方をしてきた。じゃあ、私は?」このまさにリフレクティヴな問いが自己に向かって不可避的に発せられるのである。
 逆に言えば、そのような本質的な問いを投げ掛けるような生き方をしてきた山口絵理子ってすごいと思う。私の最初の読後感も「すごいな」であった。「尊敬」はこういうときにこういう人に使う言葉なのだと思う。
 ちなみに、イベント後に並んで本にサインしてもらった。「お名前は?」と訊かれたので「はしもとです」と答えたら、「Q&Aカードに書いてくれましたよね」と言われた。カード自体はイベント中に書いてスタッフの方にお渡ししておいたのだが、サイン会時にはすでにそれを読まれていたということである。しかも名前まで覚えていてくださった。すごいな。嬉しいです。

by no828 | 2007-09-17 19:18 | 人+本=体


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