2008年 09月 03日
晴れ 残暑が厳しい。 46(96) ミニー、サフィア『おしゃれなエコが世界を救う ―女社長のフェアトレード奮闘記―』日経BP社、2008年。(読了日:2008年7月23日) 「でも、このような新しい試みに対して、異議をとなえる人もいます。古くから伝わる途上国の伝統的な製品を、手を加えて先進国の市場向けに作ることには問題があるのではないか、と。 でも、私はそうは思いません。 草木染めや手織りなど、その地域やそのコミュニティに伝わるスキルは、新しい市場を見つけなければ失われてしまうのです。このままでは、化学処理や機械による生産にとって代わられてしまうでしょう。 また、農村に暮らす人びとが、伝統を守りながら自分の生まれ育ったところで働いて収入を得ることができれば、都会に出稼ぎに行く必要もありません。都会のスラムで暮らすよりも、故郷の村で家族や仲間とともにその地域を発展させながら暮らすことのほうが、どれだけ安心でしょうか。 フェアトレードとは、作る人と買う人がおたがいの文化を尊重し合い、学びあ〔ママ〕うことだと思っています。背景にストーリーのある、このようなファッションこそが、これからのトレンドになると信じています」(pp. 189-190)。 「背景にストーリーのある〔……〕」というのは、マザーハウスの考え方とも通じていると思う。 「私の大好きなガンジーの言葉があります。それは、 “Be the change you want to see.” 世界に変化を求めるなら、まず自分がその変化になりなさい。 不公正や不条理に腹を立てたり、あきらめたりしているだけでは、世界は変わりません。 まずは自分が変化のための一歩を踏み出してみること。 そこからすべてが始まるのです」(p. 219)。 47(97) ひろ さちや『「狂い」のすすめ』集英社(集英社新書)、2007年。(読了日:2008年8月5日) 「青臭いようなことを言いますが、わたしは思想・哲学というものが、苦しみの現実と闘う武器になると思います。 世の中をすいすいと泳いで生きていけるのであれば、なにも思想・哲学を必要としません。強者によっては世の中が味方になってくれますから、闘う必要がないからです。 だが、弱者にとっては、世の中は冷酷です。〔……〕 そんなとき、弱者にとっては思想や哲学が一つの武器になります。 もっとも、なにも世間と闘わなくてもいいのですよ。〔……〕しかし、いくら胡麻を擂ったって、世間は弱者の味方はしてくれません。やるだけ無駄だと思います。そして、そんな卑屈な生き方をすれば、自己嫌悪におちいります。やめたほうがいいですね。 だから、弱者は、武器を持ったほうがいいのです。 〔……〕 <俺は世間を信用しないぞ>と、心の中でちょっと呟いてみるだけでいいのです。スマートに言えば、主体性の確立ですね。俺は世間の奴隷じゃないぞ――といった意識を持つことです」(pp. 12-13)。 「あなたの『危機』は、会社をリストラされた時点にあるのではなく、あなたが会社に隷属する生き方を選んだ時点にあります」(p. 59)。 「言うばかりで実践はできないわけだけれども、こういう生き方があるのだと知っていることが大事です。知っていれば、そのうちいつか、ほんのちょっとばかり実践できます」(p. 95)。 言うことの意義 = 理論の意義 のひとつはここにあるのかもしれない。 48(98) 原武史『滝山コミューン 1974』講談社、2007年。(読了日:2008年8月7日) 「学者が『私』を主人公とする物語を書くのは禁じ手とされている。不惑を越えたばかりの人間が、自伝めいたものを著すことは、常にナルシズムに陥る危険を伴っている。私も四方田犬彦にならって、『ここに語られていることは、もちろんすべて実際に起きたことさ。でも全体をフィクションとあえて呼びたいのには、理由がある。実際に起こったことを再現するにしても、あることにだけ強烈な照明を当て、別のあることを省略してしまうというのは、虚構の初歩的な技術なんだって、わかるかい?』(「ハイスクール 1968」、『新潮』第100巻第10号、2003年所収)と問い返した方がいいかもしれない。けれども、『社会という集合的な出来事は、いつでも個々人の具体的な生を通じて現れる。個々人の具体的な生の軌跡は、その人が生きる社会のなかでの社会的な出来事としてしかありえない。そうである以上、「わたし」をめぐる思考は、社会学的な論理に支えられる限りつねに、「社会」をめぐる思考なのだ』(『郊外の社会学』、ちくま新書、2007年)という社会学者・若林幹夫の言葉に、私は深く共感せずにはいられない」(pp. 284-285)。 @自室
by no828
| 2008-09-03 23:22
| 人+本=体
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![]() 自省のために。他者の言葉に出会うから自分の言葉を生み出せる。他者の言葉に浸かりすぎて自分の言葉が絞り出せなくなることもある。自分の言葉と向き合うからその言葉は磨かれる。よろしくお願いします。 by no828 カレンダー
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